第1章 かりそめの遊艶楼
子供らしく大声で泣いたらいいのに…出来なくなっているのか
そんなに感情を内に詰め込んだら壊れてしまう
でもここでしか生きられないから…
「和也…」
「…は、い」
正面に向き合い
まだ溢れ出る涙を目尻から拭ってやる
「私達はこれで稼いでいかなければならない
毎度このように伏されては困る
…分かりますね?」
「…はい…」
「おいで…」
せめて、私にできることを…
手を差し出すとその上に和也の手が重なって
2人一緒に立ち上がり、褥部屋に入った
布団の上で自分達の纏っていたものを脱いでいく途中
和也の手がピタリと止まった
「…怖い?」
遠慮気味に頷いた和也を、ゆっくり仰向けに寝かせる
先に裸になった状態でその横に寝転がり
安心させるよう微笑みながら頭を撫でてやると真っ直ぐに見つめてきて…
私までも魅了されてしまう
吸い寄せられるように震える唇を優しく塞いだ
「…ん」
目を細め、漏れた和也の甘い声が
抱いた経験などない私の本能を小さく揺さぶる
脱ぎきっていなかった襦袢を避け
滑らかな肌に手を這わせた
「ん…あ、ひめ…様…」
時折、主張する先を掠めてやると
恥ずかしそうによがりキツく下唇を噛んでいた
「いけないと言ったでしょう…」
やめさせるよう深めに口付け
ぎこちない舌使いに、こう使うのだと目で訴えながら絡めた
一緒に息継ぎの仕方も教えてやると素直に吸収していく
「…っはぁ…上達が早いね」
少し気が緩んだのかほんのり微笑む和也はとても愛らしくて
身体を起こし、夢中で上半身に舌を這わせていった
「…ん、は……っあ」
蕾に指を持っていくと
途端にきゅっと目が閉じられる
やはり問題はここ…
「…最初はどうしても怖いだろう…
こればかりは慣れるしかない
でもただされるがままに耐えていても苦しいだけ
ゆっくり、優しくと願いを乞いなさい
大体のお客様なら対応してくださる」
「…櫻井…様は…」
「櫻井様はお口でご奉仕されるのが何よりお好き
繋がる前に腰が抜ける程、たっぷり愛撫して差し上げれば最初より聞く耳を持ってくださる」
ついでにその瞳も向けてあげれば悦ぶだろうが
それは余裕ができ始めたら話そうか
もしそれでも荒くされるのであれば
今後お相手は私のみと…楼主に頼もう