第3章 飴玉本舗✡摩訶不思議堂
「あれ…? 相葉さん、もしかして風邪引いたりしてませんか?」
「へ?!
いや、引いてない! 引いてませんからっ!」
「でも顔赤いし!
どうしよう、俺のせいだっ…!
あ、救急箱!」
救急箱を取りに行く松本さんを
止めることもままならなかった
「熱! 計ってください!」
真剣な顔して体温計をグイグイ押し付けるから
今更照れてただけとは言えなくて
渋々脇に挟んで待つこと3分
その間もソファーの下で正座して待ってる松本さんが
なんだかしおらしくて…
てか、そんなに見つめないで?
ピピッ
あ、
「何度でした?!」
「……36度5分、です…」
「あぁ…よかった…
喉痛いとか、頭痛いとかも無いですか?」
「大丈夫…」
どうして、どうして松本さんは…
「俺のこと…どうしてそんなに気にかけてくれるんですか?」
「えっ?!」
今度は松本さんが顔を赤くした
「どうしてだろうな…
なんか、店で見かけた時から相葉さんのことが気になっちゃって…
でも変な意味じゃないです!
なんて言うか、その…」
必死に言葉を選ぼうとしてるのがわかって
それでも質問に対する答えを
ほんの少し期待しながら待つ自分がいた
…え? 期待?
「放っておけないっていうか、
色々してあげたくなるっていうか」
年下なのに偉そうにすみません、と苦笑いする松本さんを
素直に“可愛い”と思った
THE・日本の朝ごはん
とでも言うべきか
松本さんが作った朝食は感心を通り越して神だと思う
毎朝フルグラに牛乳をかけただけの俺のそれとは違って
味も見た目も栄養バランスも…
「最高ですっ!!」
「そんなに美味しそうに食べてもらえると僕も嬉しいです」
本当に嬉しそうに
子供のように無邪気に笑う
あぁ、なんかいいな…
こんな風に誰かと笑って朝を迎えるなんて
何年ぶりだろうか
温かい。
純粋にそう思った