第3章 飴玉本舗✡摩訶不思議堂
❦ H ❦
お洒落なエントランスを通って、マンションの中へ入る
「ふお…」
見たこともない豪華なロビーに、思わず声が漏れた
なんだこれ…すごいんだけど
床は大理石だし
上のライトはシャンデリアだし
…フロントコンシェルジュは居るし
普通のマンションではあり得ない
やっぱ思った通り
ここは高級マンションなんだ
「相葉さーん、エレベーター乗ってください」
「…え…あれ…」
いつの間にかエレベーターに乗ってる松本さん
開くボタンを押しながら俺に向かい、手招きをしている
ロビーの中央で止まっていた俺は、返事をしつつ慌てて松本さんの横へ飛び乗った
目的の階でエレベーターが止まる
結構上だな…
上って、高いんじゃ…?
「こっちです」
「あ、はい」
エレベーターを降りる松本さんを追って、俺も降りると歩きながら思った
松本さんって、一体何者?
…会社員とは言ってたけど…絶対普通の会社員じゃない
だってこんな高級なとこ普通の給料で住めないっしょ
レクサスだって、買えないっしょ
少なくとも俺は…住めないし、買えない
無理だよ、無理無理