第2章 バーチャルな君と僕
❦ 和也Side ❦
昨日ベンチで拾った伊達メガネを届けに
そして時間に間に合わなかったこと、前逃げてしまったことを謝りに…
カラオケBOXへ来た
ここならサトシ君に会えると思ったんだ
働いてるここなら、確実にって…
「いらっしゃいませー」
「……」
でも、受付はサトシ君じゃなくて
"店長"の名札を付けた男の人だった
「あの…サトシく……サトシさんは?」
「サトシ?…松野智?」
…松野?
苗字は知らないんだけど…
たぶんそうかなって頷く
すると店長さんはいや、って首を振った
「…あ…そ、ですか…」
居ると思ったのに…な
予想が大きく外れたことにショックを受けて、ガックリ項垂れる
また会えないなんて…
女の子って嘘を付いた天罰…?
そう思いながら、受付の机に伊達メガネを包んだ黄色いバンダナを置く
「あの…これ…
サトシさんに渡しといてもらえますか…?」
小さい声で言うと店長さんは分かりましたってバンダナを手に取ってくれた
「よろしくお願いします…」
僕は店長さんに一礼して、カラオケBOXを後にした
家に着くと、速攻で部屋に入って
スマホをポケットから取り出す
まだ、なんの知らせも来てなかった
「そりゃそうだよ…
さっき渡してきたばっかだもん…」
店長さんに託したバンダナの中には
伊達メガネの他に、僕の番号が書かれた紙を入れておいた
サトシ君がそれを見たらきっと…掛けてくれると思う
けど、それがいつなのか…
今日の夜?明日の朝?…もっと先?
考え出すとキリがなかった