第2章 バーチャルな君と僕
慌ててスタッフルームに入り
僕はバンダナを広げた
「カズナリ君…」
バンダナの中には僕の伊達メガネが入っていた
それと
小さなメモが一枚
『080-****-**** 二宮和也』
嘘…
これ、カズナリ君の電話番号だ!!!
会えなかったけど
来てくれたんだ
あの緑地公園のベンチに
来てくれたんだ…
置き忘れてきた伊達メガネ
僕のだってわかったんだ
それでわざわざ届けてくれたんだね
連絡先を残して…
嬉しかった
僕達を繋ぐ糸はまだ切れていなかったんだ
メモを片手に
震える指で電話をかけた
どうか
どうか繋がりますように…
― プルルルルル プルルルルル ―
抑え切れないドキドキに
声がうわずってしまいそうだ
『…もしもし、』
「もしもし! カズナリ君? 智ですっ…」
『サトシ君…!』
「メガネ、ありがとう
来てくれたんだよね、ありがとう…」
『ううん、ごめんなさい
僕、メールに気付くのが遅くて…
8時過ぎに行ったんです。もしかしたらって思って…
そしたらベンチにメガネが置いてあって…』
「届けてくれてありがとうね
メール見てないと思ってたから
もうホントに終わっちゃったのかなって…
でも良かった…
連絡先のメモ、凄く嬉しかった
またこうして繋がれると思わなかったから…」
『僕も…
あの時逃げちゃったことと
昨日、メールに早く気付けなかったこと
凄く後悔してて…
思い切って連絡先残しといて良かった…』
「カズナリ君」
『はい、』
「改めて、もう一度僕と会ってくれないかな
君に…伝えたいことがあるんだ」