第2章 バーチャルな君と僕
気付いてしまってからは
もうどうにも抑えが効かなくなっちゃって
カズナリ君…
カズナリ君……
次から次へと溢れ出る想いと
会いたいのに会えないもどかしさ
カズナリ君を思い出す度に
じわりと温かくなる、胸
「カズナリ君……好きだよ…好きだ…」
枕を抱きしめて
何度も何度も囁いた
「カズナリ君に会いたい…」
「兄貴! いつまで寝てんの!」
んー…?
「現実逃避してないで起きろって!」
「…ずん?」
「ずんじゃねぇし…
はぁ…今日バイトだろ? 早く起きろよっ!」
バイト…?
バイ…
「あぁぁぁぁあ!! 潤! 今何時?!」
「10時だけど?」
「やっべぇ!」
いつの間にか寝落ちしてしまってた
バイトは11時から
間に合うか?
間に合わせなきゃ!
急いで飛び起きてシャワーを浴びて
テーブルの上においてあったチョココロネを片手に
僕は家を飛び出した
「はぁ…はぁ…
おはっ…おはようございますっ…!」
「おー、智。 ギリだな」
良かった…間に合った…
荷物を置きにスタッフルームに入ろうとすると
「そうだ、智にってこれ、預かったんだけどさ?」
店長の手には
見慣れない黄色いバンダナ
中に何か包んである…?
「あ、ありがとうございます」
ほらよ、と渡されたそれを軽く握ると
包まれている中身を想像するのは容易だった
これって…