第2章 バーチャルな君と僕
「なるほどね。それで俺の写真撮らせてくれって言った訳だ?」
「うん…嘘吐いて勝手な事してごめんね、潤」
「もしかしたらあの子、かな」
「あの子って?」
「飲み物取りに行ってる時に高校生の男の子に話しかけられたんだよ
『一緒に居た人は友達ですか?』って」
「えっ、そうなの?!」
「ちっちゃくて女の子みたいな子でしょ? 可愛い感じの。
それで? 智くんはどうしたいの?」
「このままモヤモヤしたまま終わるのは嫌で…
だからもう一度会って話したいってメール送ったんだけど、それを見てくれるかはわからないし…
そもそも、会って何をどう話せばいいかもわかんなくて…」
「その子は兄貴のことが好きだって言ったんでしょ?
それって写真の俺じゃなくて実物の兄貴に対する気持ちだよね?」
「そう…かな、わかんないけど…」
「そうでしょ?
もし写真の俺を好きになったんだとしたら
わざわざ目の前の兄貴に言う必要無くない?」
それもそうだ
て言うか、さっきから気になってるんだけど…
「翔くんと潤はさ、変だと思わないの?
その…男が、男を、って…」
「「別に?」」
声を揃えてにこやかに言う二人に拍子抜けした
普通、変に思うんじゃないの?
普通じゃない事なんじゃないの?
「中高一貫の男子校だったからさ
周りにもそういう奴居たし、おかしい事だなんて思わないかなぁ」
「俺も。
つーか、男から告白された経験あるし?
男子校あるあるだよ」
「マジでっ?!
それで、潤は何て言ったの?」
「気持ちは嬉しかったけど、断ったよ?
でも相手が男だからって理由じゃないな」
「僕もあったよ
そいつとは仲良かったし、友達以上に思えなかったから断ったけど」
「俺もそんな感じ」
なんか…
モヤモヤしていたモノが少しだけ晴れた気がした
「智くんはどう思ってるの? その子の事」
「どう、って…」
「わかんない?
なら、先ずはそこからじゃない?
自分の気持ちにとことん向き合ってみなよ」
翔くんの言葉が
やけに僕の胸に深く響いた