第1章 かりそめの遊艶楼
❦雅紀Side❦
精算を終えた櫻井様と松本様をお見送りする
「またのお越しをお待ちしております」
ずっと眉間に皺を寄せてた櫻井様が気になった。
和也が何か粗相をしたんだろうか
酷くされてなければいいけど…
出入り口の大きな扉を閉めると直ぐに
蜩の間へ向かった
丁度部屋から出てきた慧を呼び止める
「慧! 和也の様子は?!」
「先程おやすみになられたところです。
少しお疲れのようですが…」
「そうか。
ありがとう、」
やすんでいる、と聞いて安心した。
水揚げしたばかりの和也は
90分お客様に付くと、次に見世に並ぶのは60分後だ
…休憩が終わる頃に様子を見に行ってみよう
和也がこの楼に来たのは半年前。
髪は汚く伸びきって
痩せ細っていた
『身体を売る、って…?
腕を取られたり足を切られたりするの…?』
あの時の怯えきった目は今でも忘れられないよ
『違うよ、和也。身体を売るっていうのはね、』
まだ十三の和也に
魅陰の仕事がどんなものなのか
教えるのは酷だった
どうしてそんなことをする必要があるのか
それがなぜ金になるのか
次第に事を把握した和也は
三ヶ月間、先輩魅陰の部屋子をしたあと
十四歳になって直ぐに、魅陰見習いとして俺の指南を受けた
『いいね? 和也』
『…はい、』
『最初は痛いかもしれないけど
直ぐに慣れるから。
…怖いか?』
『…怖いっ……怖いよ、雅紀さん…!』
『大丈夫だから、』
和也は本当に何も知らなくて
自慰さえもした事が無いと言っていた
生まれたままの姿の和也の身体を横たえ
そっと口付ける
『雅紀さん…』
『綺麗だよ、和也』
『僕が、綺麗…?』
『あぁ。 とても綺麗だ』
『んんっ…擽っ、たいです…』
首筋に舌を這わせると
ピクンと身体が揺れた
指を絡めると
痛いくらいにギュッと握り返す
『ぁっ…!』
舌が胸の突起に触れると
小さな声で鳴いた
『煽るのが上手いね』
『煽る…? あぁっ…!』
真っ赤になって必死で快感を逃そうとする和也が
愛らしかった
小さく、華奢な身体に女の子のような反応
あどけなく、可愛らしい顔付き
きっとこの子は売れっ子になると確信した