第2章 バーチャルな君と僕
『絶対観ます!
楽しみです!
カズハ』
おぉー!
チャット並みの早さで返信来た!
『そんなに楽しみにしてくれたら、僕もやり甲斐があるってもんです!
サト』
はぁ…
なんか幸せ♡
テンポ良くメールのやり取りが進む
『サトくんとメールしてると時間が経つのも忘れてしまいます!』
だって!
もう…キュン死寸前…♡
そうだ!
と思い立ち、キーボードを叩く
『カズハって可愛い名前ですね!
僕、本名サトシだからハンネがサトなんだ!』
言っちゃった!!
本名!!
『サトシ君、なんですね!
実はカズハは本名じゃないんです
カズ、までは合ってるの
後は秘密』
秘密かよ━━━━━━♡
つれないなぁ━━━━━━♡
カズさん…
いや、それじゃなんかおかしいな
カズちゃん
うんっ、カズちゃんだ!!
急に親密になった様で嬉しくなる
ちょっとだけ…
ちょっとだけ調子に乗ってみちゃおうかな
『じゃあ名前は秘密でもいいから、写メとか…』
ドキドキしながら送信すると
さっきまでテンポの良かったやり取りがピタリと止んだ
…もしかして、怒らせちゃった…?
そりゃそーだよね
そーなっちゃいますよね
いくら仲良くなったとは言え
僕はカズちゃんにとってみたら
素性のわからない、ネットの向こう側の住人に過ぎない
「やっちゃったか…」
もう、メールくれないのかな
さっきまで楽しかった時間が嘘のように
一気に奈落の底に突き落とされた気分だった
いや
どう考えてもこれは
自分から奈落の底にダイブしたんだよな
はぁ………
俺氏、タヒ亡…Ω\ζ°)チーン