第2章 バーチャルな君と僕
返事を打ち込んで【ENTER】を押すと
フッと脱力した
カズハさん…
どんな子なんだろう…
きっと
可愛くて
優しくて
肌なんて透き通るように白くて…
ダメだ
妄想が止まらない
色付き始めた僕の日常が
一瞬にして薔薇色に染まった
動画再生回数はちょうど10回
全部カズハさんが観てくれたのかな…
繰り返し
観てくれたのかな…
「智! 潤! ご飯よー!」
1階から母さんの呼ぶ声が聞こえて
「はーい! 今行く!」
浮かれ調子の俺は
Mirrorsを口ずさみながら階段を降りた
「兄貴、ヤケに機嫌いいね?
てか、さっきの雄叫び何だったの?」
「えぇっ?!
いや、なんでもないっ…!」
「鼻、ヒクヒクしてるよ?」
どうやら俺は
嘘を吐く時、鼻が動くらしい
「絶対何かあったでしょ?」
「何も無いって!」
「もしかして、彼女でも出来た?」
母さんに聞こえない様に潤にコソッと耳打ちされて
顔がボワッと紅くなった
「へぇ…兄貴に彼女ねぇ…」
「違うって! ホントにそんなんじゃないからっ!」
ニヤニヤしながら顔を覗き込む潤を無視して
僕は炊き込みご飯をガムシャラに掻き込んだ