第2章 バーチャルな君と僕
それから僕は
曲をスマホにダウンロードして
エンドレスリピートで聴きまくった
「珍しい事もあるもんだね
智が一人カラオケなんて」
バイト終わり
店長に、カラオケルームを1時間借りたいと申し出た
「ストレス発散って言うか…
あっ、絶対入ってこないでくださいよ!
覗いちゃダメですよ!」
「なんだよ、一人で篭って機織りでもする気か?」
ニヤニヤしながら店長は
『サービスだ』と烏龍茶を持たせてくれた
なんだかんだいって優しいんだ
「すみません、いただきます」
一番奥の少人数用の個室ルームに入ると
テレビ画面に合わせて自分が写り込まないように
ビデオカメラのアングルをセットした
…よし、撮るか
心地良い緊張の中
何度も繰り返し聴いていたあの曲をデンモクで入力する
【送信】をタッチすると同時に
ビデオカメラの録画ボタンを押した
♪Aren't you somethin' to admire,cause your shine is somethin' like a mirror (君には見惚れてしまうよ なぜなら君は鏡のように輝いてるから)
And I can't help but notice, you in this heart of mine (そして気付かずにはいられないよ 君がこの心の中にいるってことを)
If you ever feel alone and the glare makes me hard to find (もし君がずっと孤独を感じていて 君の眩しさで僕がそれに気付けなかったとしても)
Just know that I'm always parallel on the other side…(覚えておいて 僕はいつだって君と向かい合わせの世界にいるってことを…)♪