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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第46章 ポアロにて/T様へ


(ポアロにて)



月曜日の穏やかな昼下がり。
カフェでコーヒーでも飲みながらゆっくり小説でも読もう、そう決めて訪れたのは喫茶ポアロ。
笑顔で迎えてくれた梓さんにそう話すとカウンターの奥の席を勧めてくれた。
観葉植物と棚のおかげで、そこは他の席からあまり目立たない。逆を言うと店内の様子に気をとられることなく読書に没頭することが出来る最高の環境だった。
何度か客の来店を知らせるベルが鳴って、その都度私の脇を梓さんがパタパタと歩いて行く音がする。時折彼女の視線は感じたものの、気を使ってくれているのか声をかけて来ることはなかった。



控えめなジャズをBGMに、たった今読み終えた1冊目をパタリと閉じる。ぐっと伸びをして、すっかり冷めてしまったであろうコーヒーを飲み干した。

「そういうのも読むんですね。」
突然頭上から降ってきた声に驚いて顔を上げると、爽やかな笑顔を浮かべた安室さんと目があった。
「おかわり、いかがです?一杯サービスしますよ。」
私の空になったカップを下げながら、逆の手では新しいカップの準備を始める。

「びっくりした、いつ出勤してたんですか?声かけてくれればよかったのに。」
「あまりにも集中していたので遠慮したんですよ。さくらさん、読書中に茶々が入るの嫌なタイプでしょう?」
図星を指されて思わず口ごもった。
そんな私の様子をさして気にした様子もなく、安室さんは私の右側にカップをコトリと置いた。そして、そんなことより、と再び口を開く。
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