第45章 再会/H様へ
「あれ山門くん、そんな封筒持ってたっけ?」
カウンターを抜けると、既に搭乗手続きを済ませていた教授達が手を振って迎えてくれた。
「ええ、さっきの子達から貰ったんです。前の病院に勤めてた時によく一緒に遊んでて…」
封筒を開けると中に入っていたのは一冊のノート。
所謂大学ノートのそれは表紙にも封筒と同じように私の名前が書かれている。
パラパラとめくってみると可愛くキラキラのシールでデコレーションされたページや大胆にクレヨンで描かれたページ、几帳面に整った文字が並ぶページなど、何ともまとまりのないノートに仕上がっている。
しかしどれも私へのメッセージで埋め尽くされており、少年探偵団のみんなから蘭ちゃん、園子ちゃん、毛利探偵、昴さんに至るまで色々な人が書いてくれたのだと分かる。
「わ、すごい!寄書きっていうか全ページまるでラブレターみたいっすね!」
背後から覗き込むように身を乗り出した先輩は、すごい仲よかったんすね、と羨ましそうに呟いた。
勝手に見ないで下さいよ、と先輩に文句をつけつつノートを丁寧に封筒に戻す。
「あれ、仕舞っちゃうの?どうせ長いフライトになるんなんだからゆっくり読んだら?」
僕らのことは気にしないでさ、と教授は言ってくれたが、その言葉には首を振る。
「家でゆっくり読みますよ。万が一機内で号泣しちゃったら気まずいじゃないですか。」
ゆっくりと飛行機は大空へ向けて動き出す。
行きよりも幾分か軽くなった私の気持ちを乗せて。