第37章 デジャビュ?/ジン,ベルモット
「あら、さくらさん?」
「蘭ちゃん!それに毛利探偵とコナンくん、お久しぶりです。」
「これはこれはご無沙汰しておりましたな!コナンが何度かご迷惑おかけしていたようで!」
「いえとんでもない!私も楽しんでますので。」
そこではたと気付く。コナンくんとジンが顔を合わせてはまずいのでは。
足元に視線を落とすと思った通り、怖い顔をしたコナンくん。
その彼が睨みつける視線の先、つまりは私の背後に立つジンを恐る恐る振り返る。
しかしジンは興味なさそうに明後日の方向を向いているだけで、私はほっと胸を撫で下ろした。
3人に軽く会釈をして足早にその場を離れる。もちろん、ジンを引っ張って行くことも忘れなかった。
会場の隅の方、大きな窓の前に来たところで私は足を止める。
「さっきの奴等、知り合いか?」
「そう、仲良くしてもらってるの。」
「もっと話してても構わねえぜ。」
俺の事は気にしなくていい、というジンの言葉に首を振る。
「いいの、普段からよく会ってるし。それに工藤先生のスピーチを聞き逃すわけにはいかないから。」
あと少しでパーティの開始時刻になる。
私の言葉に納得したのか、ジンは頷くと窓の外へ視線を移した。