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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第25章 太陽の欠片盗難事件/キッド


キッドは両手を挙げると首を横に振った。
「流石だな。アタリだぜ。」
「負けを認めるってんなら警察に…」
コナンくんのその言葉に、キッドはやーだね、と舌を出した。
そしてこちらに顔を向ける。
バッチリ目が合ってしまって思わず顔を背けた。

「オネーサン、そこにいるんでしょ?出て来なよ。」
目が合ってしまった以上これ以上隠れていても仕方がない。陰から恐る恐る顔を出した。
意外なのはコナンくんも驚いた顔をしなかったことだ。
2人ともきっと初めから私がここにいることを知っていたのだ、こっそり隠れていた自分が恥ずかしい。

「これ返すぜ。脅迫まがいのことして悪かったな。」
キッドは白衣を脱ぐとそのままこちらに放った。
視界が一瞬白で覆われる。
白衣を受け取って再び顔を上げると、キッドは元の青年の姿に戻っていた。
そしてポンと右のポケットを叩く。

「それ、院長に返しておいてくれよ。俺の探し物とは違うみてーだからな。」
彼に倣って白衣の右のポケットに手を入れると、何か硬いものが入っていることに気がついた。
取り出して月の光に当てる。鈍く黄色に光るそれは間違いなく太陽の欠片だった。

彼がくるりとこちらに背を向けると、その背にハングライダーが出現する。

「そうだ、最後に一つ教えてくれよ。」
「あん?」
コナンくんが呼びかけると、キッドは片眉を上げて振り返った。
「予告状、”大翼の飛びさる処より”って書いてたろ?病院のちょうどこのヘリポートが羽田の方角だったから、てっきり来るときにハングライダーを使うと思ってたんだけど帰りに使うんだな。」
「普通、もと来たところに帰るだろ?俺ん家はこっから羽田空港の方角にあるもんでね。」
来る時もそっちから来たぜ?歩いてだけどな、と彼は笑う。

「じゃーな名探偵!」

トン、とキッドの爪先が屋上を蹴ったのと、隣に立つコナンくんが何かを蹴ったのはほぼ同時だった。
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