第24章 新たな共犯者/コナン、灰原
工藤くんから聞いた内容はこう。
さくらさんは組織の一員ではあるが、積極的に組織に関わっているわけではないらしいこと。
APTX4869の解毒薬を作るために組織にいること。
そして何より、少なくとも敵ではないということ。味方でもないらしいけれど。
『オメーがAPTX4869の研究してたって言ったら、今度ちゃんと話してみたいってよ。』
彼のさくらさんへの信頼感にほとほと辟易した。
「あなたね、無責任な事言わないでくれる?そもそも組織の人間の言う事なんて信じられる?平気で嘘も吐くし、裏切ることをなんとも思っていないような人間の集まりよ?」
『だから、さくらさんは違うって言ってんだろ?一回会って話してみろって。俺から連絡しとくから。』
「…分かったわよ。」
これ以上何を言ってもきっと彼の考えは変わることはない。頑固な性格であることはこれまでの付き合いの中で十分理解している。
私が一度さくらさんに会えば、それ以上彼も何も言わないだろう。
◻︎
今日の昼休みの事だ。
給食を終えて近づいて来る工藤くんに、嫌な予感はしていた。
「明日の放課後、暇か?」
隣の机に腰掛けると、足をプラプラと揺らしている。
「さくらさんのところ一緒に行こうぜ。明日なら時間あるらしいからよ。」
私の返事も聞かずに彼はそう続けると、サッカーしようぜ!というクラスメイトの言葉に誘われて教室を飛び出して行った。
それからだ。
さくらさんのことが頭から離れなくなったのは。
授業中も夕飯を食べている時もうわの空。
ついには悪い夢まで見てしまった。
溜息を吐いて再度布団に寝転がる。考えたって仕方がない。明日の放課後になればこの悩みからは解放されるのだから。