第1章 [うた☆プリ]ヒミツの恋★来栖翔★
───ピンポン♪
表札の無い玄関のチャイムを鳴らした。
いきなり翔ちゃん家来ちゃったけど、
そもそも仕事かも知れないよね...
来栖翔
彼は私の幼なじみ。
歳は私の一つ上
面倒見が良くて、私が困っていたり悲しんでいると、すぐに気が付いてくれて、助けてくれた。
自分に厳しく、やると決めた事はとことんやる。
そんな、ヒーローみたいな人...
物心いた頃には、私の王子様だった。
今日はそんな翔ちゃんに、バレンタインのチョコを渡しに来た。
翔ちゃんが、早乙女学園に入学してからは
寮生活をしていた為、全く会えずに、とても寂しい思いをしていた。
卒業後、アイドルとしてデビュー。
デビューした後は、
何度か仕事の合間をぬって遊んでくれた。
そしていつの間にか、私の中での翔ちゃんは、
王子様から、好きな人へと変化していた。
「............」
やっぱりいないか
「ここに置いて行けば気付くかな?...」
玄関のドアの前に、チョコの入った袋を置き、立ち去ろうとした...
すると
──ガチャ。
ドアが開く音がして、振り返った
「おぉ!じゃん!急にどうしたんだ?」
お風呂上がりかな?
髪の毛が濡れている。
「翔ちゃん家にいたんだね♪
今日、バレンタインだから、チョコ渡したくて。
最近忙しくて、連絡も全然出来てなかったじゃん?だから、とりあえずアポ無しで来ちゃった!」
「アポ無しってお前なぁー」
翔ちゃんは少し困った顔をした。
「とにかく、中に入れ!な?」
「はーい!」
嬉しい。
本当に会えるとは正直思っていなかったから...
「お邪魔しまーす♪」
初めて入った。
翔ちゃんの匂いが沢山する...
私は、心臓が飛び出そうな位にドキドキしていた。
「少し散らかってるけど、許してくれよな!」
床に落ちている雑誌やCDなどを手で拾っている
「ちょっと所じゃないね、...ふふ。」
何だか可笑しくなって少し笑った
「おま!お前なぁ、仕方ないだろ?アイドルってのは、毎日忙しいんだからな?テレビ収録に、レコーディング、それから──────」
翔ちゃん楽しそう。
私はそんな翔ちゃんの笑顔が大好き...
「ねぇ翔ちゃん?」