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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第5章 臥竜


もう一度二宮を押し倒した。

「智さん…」
「和也、もっと自由になれ…」

そっと唇にキスを落とすと、二宮は目を閉じた。

「俺の前で、なにも抑えるな…」
「はい…じゃあ…」
「ん?」
「キス…もっとして」

目を開けると、まっすぐに俺を見つめた。

「ああ…たくさん、してやるよ…」

その日はずっと二宮とそうやって過ごした。
上海から帰ったばかりだというのに、二宮の体力は尽きることがなくて。
俺のほうが先に音を上げた。

ずぶずぶと眠りにひきずりこまれながら、二宮の微笑む顔を眺めた。

「和也…」
「はい…」
「起きるまで、傍に居ろ…」
「はい…」

ぎゅっと二宮の手を握ると、すとんと眠りが訪れた。








「翔…何言ってるの…?」
「もう、智を傷つけた男はいないから…」
「矢崎を殺したのか!?」

翔の顔を見上げると、ゆっくりと翔は俺を見た。
冷たい、冷たい目だった。

「安心して下さい。証拠なんか残してないですから…」
「大野組の幹部だぞっ…」
「智…」
「なんだよ…」
「許せるわけ、ないだろ…?」
「え…?」
「ちゃんとあいつの尻から引き裂いておいたよ…」
「翔っ…」
「智のこと弄んだ悪い口も引き裂いておいたよ」

思わず翔の襟首を掴んだ。

「てめえっ…組長の許可無く何やってんだっ!」
「俺の手で殺したかったんだ」
「ふざけんなっ…」
「智を傷つけるヤツは…それが例え過去でも許せない」
「翔っ…」





「大丈夫…俺が、守るから…」










翔…
和也…

どちらが俺に優しい嘘をついているの…?






【臥竜 END】
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