第20章 folder.4
「…誰でも、できることじゃないよ…翔は、まっすぐなんだね…」
「え…?」
「ううん…なんでもない」
そのまま智が腕を引くから、ベッドに倒れこんだ。
しばらく、そのままの姿勢で智と見つめ合う。
「キス…して…」
さっき、フォークを押し付けていた艶っぽい唇がまた俺を誘った。
そうやって、朝まで…
俺と智は絡み合う。
カーテンを閉め忘れた室内に、朝の光が差してくる。
俺の上で揺れ動く智は、朝日を浴びてとても綺麗だった。
「翔っ…好き…好きだよぉ…」
「ああ…智…好きだよ…」
下から腰を突き上げながら、智を苛んでいる瞬間…
何もかも忘れて、この世には俺と智しか存在しない。
「智ぃっ…一緒にっ…」
「ああっ…ああっ…翔っ…」
伸ばした両手をぎゅっと握った。
「愛してるっ…」
「愛してるよ…智っ…」
最後の愛の証を、智の身体の中に注ぎ込んだ。
「あ、そうだ…」
帰りの車の中で眠そうな目を俺に向けた。
「なんですか?」
「昨日レストランで、なんで俺の顔見てたの?」
「ふ…」
「なんだよ…なんで笑うんだよ!」
一瞬にしてぶーたれて、子供みたいな顔になる。
朝方までの妖艶な智は、見る影もなかった。
「唇がね…」
「え?」
「その場で押し倒したいくらい、色っぽかった」
「なっ…何言ってんだよ!朝っぱらから!」
「だって、智が言えって…」
「もういい!家で寝るっ…」
「…添い寝要る?」
「もちろんだよっ!バカっ…」
逆切れした智は、世界一かわいかった。
【Folder.4 END】