第19章 folder.3
眠る横顔を暫く眺めた。
我慢できなくて、前髪を少し指で梳いた。
ボンは…俺には何も聞かない。
過去に何があったのかとか、なんで俺が一人なのかとか。
ただ、ここに一人いる素の俺を見てくれてる。
それが嬉しい…
他の何者でもない。
俺を愛してくれてるのだから。
「ん…?翔…?」
「あ…ごめん。起こした?」
「ううん…」
目を覚ましたボンは、天使みたいにかわいい。
「…だっこ…して…?」
本当に、瞬間、瞬間なんだけど…
時々俺に見せる無防備な姿。
たまらなく愛おしくて…
いつもぎゅっと身体を抱き寄せると、ボンが嬉しそうに微笑むのがわかる。
きっとこの世でこの人がこんな姿見せるのは、俺だけなんだ…
そう思うと、叫び出したいほどの喜びを感じる。
俺達は…出会ってしまったんだと思う
「いいよ…おいで…?」
腕を広げると、ぽすんと腕に飛び込んでくる。
本当に愛おしくて、このまま抱き潰したいくらいだ。
「翔…苦しいよ…」
「ごめん、もうちょっとこのまま…」
「…どうしたの…?」
すべて俺に預けきってるこの人のために…
俺は過去をすべて捨てる。