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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第19章 folder.3


「よしっ…今が売りだ!」

叔父貴の声に、慌ててエンターを押した。

「これで今日は終わりだな。一億稼いだぞ」

そう言って叔父貴はメガネを外した。

「あ…ほんとに…?」

パソコンのモニターを穴が開くくらい眺めた。
並んでる数字は、俺のエンターキーによって、大きく変動した。

「やったな、櫻井!」

慎吾兄が俺の肩をバンバン叩いた。

「や…やった!兄!」
「やったな!」

慎吾兄が片手を上げてハイタッチを求めた。
勢い良くタッチすると、肩が抜けそうなくらい叩き返された。

「ぬを…」
「いやあ、お前やったぞ!まじやったな!」

はしゃぐ俺達を、草彅の叔父貴は微笑んで見てる。
傍らのテーブルからマグカップを取り上げるとぐいっと飲み干した。

「よし、慎吾行くぞ」
「はい!」
「櫻井、おまえ智に報告しとけや」
「ありがとうございます!」
「これで終わりじゃねえからな…明日からも締めて掛かるぞ」
「はいっ…また、よろしくおねがいします!」

今日、初めて俺の読みで株の売買が成功した。
いわゆるインサイダー取引だけど、確定の情報じゃなかったから不安だったけど…

叔父貴にやってみろと言われて、ぶん投げたなけなしの金は、1億以上の金に化けた。

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