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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第18章 folder.2


「草彅の叔父貴と、舎弟の慎吾さんだ」

大野の事務所で紹介された。
その人は何回かは見たことはあったが、事務所にしょっちゅういる人じゃないから、この日初めて喋った。

「あんたが噂の櫻井か…よろしくな」
「あ、よろしくお願いします」
「叔父貴はね、俺の親父の古い知り合いなんだ。今は組を持ってないけど、一時期は20人からの手下を持ってた組長だったんだぜ」
「よせよ…もう昔の話だ」

草彅の叔父貴は少し照れたように頭を掻いた。

「で?こいつに金融のこと叩き込めばいいんだな?」
「うん、叔父貴なら間違いないと思う」
「わかった…慎吾と一緒に仕込んでやるよ」
「頼むね。叔父貴」
「ああ。大野組もそろそろこっちに手を入れていかんと立ち行かなくなるからな…任せておけ」
「櫻井は、頭が切れるから…飲み込みはいいと思う。頼むね」

そう言うとボンは俺に向き直った。

「櫻井…大野はまだ昔ながらの商売ばかりしてる。これからのヤクザはそれじゃやっていけねえからな…叔父貴にしっかりとついて勉強しろや」
「はいっ」
「お前の本気、俺にみせろや」

そう言って、ボンは事務所を出ていった。


この日、俺のヤクザとしての道が見えた。
喧嘩なんてしたこともない、ボンボン育ちの俺があの人についていくには、この道しかない。

そういうこともボンには見えてたんだな…

「さあ、櫻井。ビシビシ行くぞ?」
「よろしくおねがいします!草彅の叔父貴」


経済ヤクザ…

俺の極める道。


【Folder.2 END】
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