第17章 folder.1
寒くなった
今日から、組長の家に入ることになった。
ボンの世話をすることになった。
名前は智さんという。
俺の一個上だってことだった。
とてもそうは見えなくて。
細い身体に、長めの髪。
絵なんか書いてるから、とてもヤクザの息子には見えなかった。
今日から俺は、この人について回れってことだった。
ヤクザの事務所なんか、もっと酷いことするんだと思ってたから、びっくりした。
お前ならボンと年が近いから、いい話し相手になるって城島さんに言われたんだけど…
ヤクザの息子だから、てっきり凄く怖い人だと思ってた。
とても、綺麗な顔をしている。
そして、油断がない人なんだなって思った。
俺のこと、さり気なく品定めするような目をしていた。
少し、警戒しているような…
当たり前か…
こんなどこの馬の骨ともわからないような奴…
ヤクザの世界だからって甘く見てたかもしれない。
でも今の俺は、過去はあってないようなものだから…
本当だったら、今頃大学のキャンパスに立っているはずだった。
でも…
高校も…中退って形になってるのか。
それは問い合わせてみないとわからないけど…
俺には、もう必要のないことだけど。