第14章 啼き竜
気がついたら公園に居た。
「え…?」
ここは…どこだ…
周りを見渡しても、あの3人は居なかった。
「なんだよ…岡本の野郎…部長の狗だったのかよ…」
少し頭が痛む。
なにか薬を嗅がされて、眠らされたのか。
ふらつく頭を少し振ると立ちあがった。
ここは…池袋…?
薄暗い公園を出るとラブホテルの前に出た。
少し歩くと大通りに出た。
東武デパートが見えた。
駅は…あっちか…
まだ足がふらついていたが、なんとか歩く。
とにかくここを離れないといけない、そう思った。
家に帰ろう。
休暇を取ったんだ。
のんびりやればいい。
大野を殺すのも…
櫻井を殺すのも…
ゆっくりと歩き出すと、人混みの先…
微笑んでこちらを見ている男が居た。
黒のトレンチコートを身に纏っている。
「あ…」
あれは…
いきなり、視界が揺れた。
「あ…?」
背中に鈍い衝撃。
後ろを見たら、人が俺にぶつかっていた。
「なにするんだ…」
振り払おうとしたけど、そいつは離れない。
「ちょっと…」
ピリっと背中に痛みが走った。
「え…?」
すぐに息苦しさが俺を襲った。
「ぐっ…あ…」
背中に張り付いていた男がゆっくりと顔を上げた。
「草彅…」