第13章 竜王申し
「総長に言えよ」
「見せてくれないと思います…」
「なら俺にだって見せられねえよ」
「あの人は…俺達に何もやらせねえつもりだ」
「わかってるなら引けよ」
「叔父貴…わかるだろ…?今更俺たちだって引けないんだ」
俺たち…相葉のことだろう。
「気持ちは…わかる」
窓の外の街並みは、クリスマスに向けて賑やかだ。
寒そうにコートの前を掛けあわせて行き交う人々…
復讐なんて…今時、古臭いのかもしれない。
けど、俺は…俺達はそうせずにはいられない。
総長と俺は理由が違うのかもしれない。
ただ、なくしたものの大きさは同じなんだろう。
”小杉よ…大事なものを奪われるって、死ぬよりも辛いんだぞ…”
智の声が耳に蘇る。
「だが、俺には総長の気持ちもわかるんだ…」
「なら俺はあんたから離れない」
「え?」
「ずっと貼り付いてやる」
ガタガタ貧乏ゆすりをしながら、思いつめた顔をしてる。
「親のいうことが聞けねえのか」
親の意思に反することは、極道であればしてはならない。
「俺が人間として生きてられんのは…智さんのおかげなんだ」
「え?」
「俺の命は、智さんに救われた…だから…引けない」