第4章 傷だらけの翼
喜多川の親父から跡目を託されてから、大野組は俄に慌ただしくなった。
長瀬との盃事の準備のため、城島と相葉は忙しく立ち働いている。
二宮には全面戦争に向けた武器の調達、松本には喜多川に行くための準備を任せていた。
大野組は規模の小さな組だが、歴史だけはあって。
客分の叔父貴は結構いるし、一家の傘下である小さな組から人足だけはたくさん集められた。
俺は年は若いけど、大野組をここまで立て直せたのは客分の叔父貴達の力もある。
だからきっちり筋を通すため、喜多川との養子縁組の話も通しておいた。
「組長…そりゃあいいとは思うがよ…」
草彅の叔父貴は顔を曇らせた。
「あんた…そうなったら小杉の野郎のことどうすんだ」
「あの野郎はぶっ殺します」
「だろ?俺は、その腹で居たんだ。なのに総長になっちまったら…」
「殺す前に、盃割られちまったら…元も子もなくなりますよ…」
「…すまねえな…こんだけ世話になっておきながら…俺にバックがないばっかりによ…」
「何言ってるんですか…」
「バックがありゃ、俺がアンタの変わりやってやるのによ」
「草彅の叔父貴は、小杉にゃ恨みないでしょうが…」
「あるぜ…?忘れたのよかよ」