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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第9章 切迫の淵


喜多川に来て一月。
着々と俺は組織を固めた。
相葉が俺の手足になって動いている。
松本は裏に回って、草彅を助けている。
草彅は、懲罰委員長として容赦なかった。
次々と喜多川の綱領に従っていない奴を挙げた。
智也は…まだ泡くってる。

翼竜会人事も、滞り無く済んだ。
喜多川の総裁としての地位は変わらない。
俺のこと年が若いと思って舐めてかかってた連中は、沈黙した。
下工作は、退院してきた二宮が全てやったからだ。

前総裁よりも、厳しい。

いつしかそんな声も聴こえた。
当たり前だ。
俺が居なくなったら、どうすんだ。
今のうちに締めてかからないと…総崩れはごめんだ。
後に残るものが…割を食う。


誰も、俺のタマ取りにくる奴は居なかった。

「ちぇ…つまんねえな…」
「は?」

相葉が不思議そうな顔で俺を見る。

「なんでもねえ」

親父の使ってた書斎を、だいぶ改装した。
今は、俺の使いやすい部屋になってる。

畳は…キツい。

洋室に改装して、やっと落ち着いたところだった。

「そろそろ…大野の家に一度戻る」
「ああ…はい。喜多川の若衆入れておきます」
「頼む」

ここから、例の龍の住む池が見える。
いつ、昇っていくのか…
そう思うだけで楽しみだ。

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