第2章 もがれた翼
振り向くと、気怠い顔でこちらを見ている。
「まだ…翔さんのこと、忘れられませんか…?」
…なんで…今聞くんだよ…
答えず歩いていると、後ろから二宮が抱きついてくる。
「代わりでいい…代わりでいいですから…」
「二宮…」
「傍に居させて下さい…」
振り返ると、目を伏せて泣いている。
黙ってその肩を引き寄せた。
「悪いな…二宮…。多分、翔のことは、一生忘れることはできねーよ」
そう言うと、二宮は大きな目に涙を溜めながらこくりと頷いた。
「二宮は…二宮だろ…?だから、代わりなんかならねえよ」
「智さん…」
「それにお前は…生きてるじゃねえか…」
ぎゅっと抱きしめると、二宮の鼓動が伝わってくるようだった。
「お前は…生きてる…」
二宮が顔を上げた。
俺の顔を手のひらで包むと、そっとキスをした。
そのまま俺たちはまた縺れて、ベッドに倒れ込んだ。
そうだよ…二宮お前は生きてるんだ…
だから翔とは違う…
翔は…死んだんだから…
【もがれた翼 END】