The result of revenge [ディアラバ]
第12章 What we want to protect~守りたいもの
「落ち着けシン。私とて同じ気持ちだぞ...同じ女を愛してしまった。だがそれは叶わぬ運命だったのだ」
ふと横目で見た兄さんの表情は今まで見たことの無い顔をしていた...
兄さん...オレみたいに言葉にしない分、想いは募る一方なのかな?
「ねぇ兄さん、これからどうするの?」
「そうだな...カールハインツの考えている事が最後まで理解出来たとは言わないが、私はユウラがあんな風に過ごしているのであれば、私はこのまま身を引こう。」
「...兄さん...」
「私のこの命が果てる前に、この感情を味わえただけでも良いではないか。ユウラが幸せなら...と。そう思えるなどとは思いもしなかったな」
そうだね兄さん。
俺たち魔界の種族には、愛などという感情を感じられる事など数少ない。ましてや兄弟で同じ女を愛してしまっていただなんてね...
「けど、カールハインツは何故人間の血をアイツに入れたんだろうね」
単純な疑問だが、知りたい事の一つだ。
「それは分からないが、やはりエンデツァイトの関係なのでは無いか...?」
そうだ。
1番大切な事を忘れかけてたみたいだね
「じゃぁ、ユウラはもう死の病からは解き放たれたってコトでいいんだよね?」
「恐らくな。」
そっか...
いつかちゃんとアイツの目の前で、アイツの視界の中に入って、この気持ちを伝える事が出来たなら、どんなに幸せか。
──決して報われなくとも──
俺たち始祖は今後どうなって行くのだろうか。
結局、この場では兄さんに聞けなかった
ただ、兄さんはユウラを見つめ、黙っていた...
「なぁシン...」
「...っ、何にさ急に」
「私はアイツが...ユウラが幸せそうにしていて、何より命が尽きない事が、今は一番の最優先だと思っている。無論お前も同じ気持ちでいてくれていると信じている...」
オレの方へとは顔を向けずに、ユウラ達の方を眺めながら話した兄さんへと、俺は言葉を返す
「...そう。だね...とりあえず今はそっとしておいてやりたいかな...あれだけ長い間幽閉されていたんだ」