The result of revenge [ディアラバ]
第12章 What we want to protect~守りたいもの
しばらくすると、次第に強くなるユウラの気配と共に感じられらたのは、
「ヴァンパイア臭いね」
多分逆巻んとこの誰かだろう
「まさか仲良く散歩中とか?」
「くだらん事を言うでない。そんな訳がある筈が無い」
「けど兄さん...さっきより近くに感じるユウラの気配に、憎しみとか怒りを感じられないね。それにもう目の前は、カールハインツの城に張り巡らされてる結界だよ」
不可思議なアイツの気配を次第に強く感じながら、俺たち兄弟は、大切な人の元へと着々と近付いていった────
そして、そのすぐ後...
知りたくなかった、いや、違う。少し安堵すら感じてしまったのもまた間違いじゃない。
それは、ちょうどカールハインツの結界のすぐ手前の茂みから見えた光景だった
「ユウラだ...」
「それにアレは、逆巻の次男だな」
カールハインツの力によって咲き誇っている花たちの真ん中で、二人で何か話している様子だった。
柄にもなく覗き見なんてしちゃって、始祖であるオレと兄さんが情けなくなった...
けど、今はそんな事より何より、目の前にいるユウラの姿と、そんなアイツが視線を送る先の逆巻レイジから目が離せなかった。
──あんな表情をしたユウラを初めて見たからだ──
隣にいる、兄さんはただ黙ったままじっと見ている。
一体どんな気分なんだろうね...
オレは正直動揺してるよ
すると黙っていた兄さんが、口を開いた
「シン。これがカールハインツのやりたかった事なのだな...」
意味ありげに話す兄さんに、オレは何も言葉を返さなかった
「そんな事言っちゃってさ、兄さんはこのままでいいワケ?」
「相変わらず鈍いな、シン。」
「ハッ、そんなの今に始まった事じゃないだろ?」
──幸せそうなユウラ──
そんなアイツを目の前にして、俺たちは何もしなかった...
いや、出来なかったんだ。
「兄さん...オレ、悔しいケドこれ以上は見ていられそうにないんだけど?」
ホントだったらオレに見せて欲しかったよユウラ...
オレが...オレが...
「クソッ!」