The result of revenge [ディアラバ]
第12章 What we want to protect~守りたいもの
珍しく声を荒らげた兄さんに、オレは何かを悟った。
少しの沈黙の後、落ち着きを取り戻したのか、いつもの様に話を切り出した
「...すまない。もう話してやろう、こうなった今、シンには話さないといけない事なのかも知れんな。......始祖の王として、無論ユウラを手放したくは無かった。それくらい、シン...オマエには言わずとも分かるだろう。」
「そうだね。ユウラが居ない今、もう始祖の繁栄は絶望的だよね...」
「そうだ。ではシン、なぜ私が...この私がユウラを手放したと思うのだ?こうして冷静を装っている事すら分からない様では、分からないだろうな。」
「じゃぁ、やっぱり兄さんも...ユウラを...?」
オレは大きく息を吸い込んだ。
兄さんからどんな言葉を返されようとも、冷静で居られる様に...
そっと、兄さんの方へと身体を向け、ベッドの上で足を組んだ
「......あぁ。私は、ユウラを一人の女として愛してしまっていたのだ。」
「...っ!ハハッ...やっぱり、か...」
思わず思った事を口にしてしまった
兄さんの方へと向けていた視線も、自然と逸らし、下を向く。
すると、椅子がきしむ音がした。
多分窓際にあった椅子に腰掛けたんだろう
「何がおかしくて笑っているのだシン。やっぱりと言う事は、気が付いていたんだな...。そして、その反応はもしや...お前───」
「あぁ、そうだよ兄さん。オレもアイツの事は昔から特別だと思ってたけど?」
もう隠す必要もない。
だってユウラは、もう居ないのだから...
「...そうか。」
「...そうか。って、それだけ?なんか他に言う事ないワケ?昔からそうゆうトコ、ホント変わらないよね...兄さんはさ。」
イライラする。アイツを勝手に手放した事も、こうしてオレの本音を言っても、動じようともしない兄さんに腹が立って仕方がない
「私は言った筈だ。愛してしまった...と」
「だからってオレの気持ちに気が付いて無かったとか、まさかとは思うけど、そう言うのはナシだよ。」
オレはもう一度、兄さんの方へと向いて、強い視線を向けた。
すると、それに気が付いた兄さんもまた、オレの方へと向き、言った...