第11章 Lunar Eclipse～月蝕～epilogue

身体が熱くなる...
嬉しさと、苦しさと、不安と、何もかもが混ざりあって...今この感情をどう表現したらいいのか分からず、涙がこぼれ落ちた...

｢...はい...。これからもずっと、私はレイジさんの側で、レイジさんと共に生きていきたいです。｣

｢貴女、泣いているのですか？｣

私の顔を覗き込む様にして言うと、この涙を確認したからなのか、レイジさんは私の涙を指で拭ってくれた...

｢すみません...何か...私、嬉しくて、つい...｣

｢全く。泣くほどの事ですか...まぁ、貴女が私を避けたり、他のバカ兄弟達にされてしまった事を考えれば、そのまま泣いていて貰った方が、私としては都合良いですがね...｣

そう言って少しあざ笑うレイジさんは、こんな大事な話をしているにも関わらず、相変わらずで...
けれど、いつもよりも優しいその視線に、私はまた涙を流さずにはいられなかった───

｢ねぇ、レイジさん？...後で、月蝕だからそう言っただけですよ？とか、言わないですよね？｣

夢の様なこの時を、嘘にはしたくない。

｢クク...私があれだけ饒舌に喋っていたから、不安になった訳ですか。まぁ...そうですね、少し喋りすぎな事は影響されていないと言いきれませんが、嘘ではありませんので、心配には及びませんよ｣

｢そうやって優しくされればされるほど、不安になっちゃうのも、私がレイジさんを好き...だからですね。｣

口にすればする程、どんどん好きになっていく。
愛しいと想う気持ちが強くなる...
レイジさんもまた同じだと思うと、私は

──これが幸せなのでは──

と、...そう思った。

｢好き、ですか...。私達魔族、仮にも貴女にも流れているこの血が、誰かを愛するとは微塵も思っていませんでした。しかし、ユウラ...貴女にはそれを覆す何かがあったのでしょうね。｣

｢それって、私を褒めてくれてます？｣

｢ええ。とても｣

そう言うと、レイジさんは私の方へと身体を向けた。

｢ほら、私から動いてあげたのです。これから何をするのか...お分かりでしょう？｣

｢...っ、吸血...ですか...？｣

｢まぁ、それもそれで良いのですが───｣

突然身体を寄せられ、一瞬目を瞑った隙に触れたのは、紛れもなくレイジさんの唇だった...