The result of revenge [ディアラバ]
第11章 Lunar Eclipse~月蝕~epilogue
「ユウラ、今はまだその時ではありません。私も月蝕の影響で、普段通りに振る舞うのが精一杯なのです...なのでそういった行動は差し控えて頂きたい。」
「レイジさん...」
今どんな表情でそうやって言っているの?
「ごめんなさい。つい...私、何も考えずにこんな事しちゃって...」
そう言いながら、私は掴んでいた服の裾を離した。
確かに軽率だったかも知れない...
早くこの湧き上がる衝動をレイジさんに伝えたいと、ただ強く願った。
「...分かれば宜しい。」
そのままいつもより少し距離を開けて、歩みを進めていく
城内はとても広く、そして目に入るもの全てがとても綺麗で...カールハインツの力の強大さを思い知らされるばかりだった。
しばらく歩くと、レイジさんは大きな扉の前で立ち止まる
「ここから外へと出ますが、お父上の結界の中なので、怖がる事はありません。ただ大人しくしていなさい、いいですね?」
「は...はい。」
それは、レイジさんの緊張が私にも伝わってくる様だった...いつも自分の事だけを考えていた私にとっては、相手の気持ちを感じ取るなんて、ずいぶんと成長したのだと思った。
きっとそれは月蝕の影響だけではないと、言いきれるはず...
城外へと出ると、目の前に映った景色はこの世のものとは思えない程美しく、気を失う前に遠くから見えたそれを遥かに超える光景だった...
城の周りを流れ落ちる滝、花は咲き誇り、身体全身が震えた。
私の中にあった嫌悪感までもくすぶらせる程に...
唖然としながら、ただレイジさんの後を付いていく。
「先程ここへたどり着いた時、貴女は気を失っていましたからね、そう驚くのも無理はないでしょう...」
「私があっけに取られていたの、よくわかりましたね」
歩きながら何気ない会話をする
「クク...ユウラの考えている事など、その顔を見ずとも分かります。あまりにも単純で───」
「おっちょこちょいで、バカだって言いたいんですよね?」
悔しくて、でも嬉しくて、つい言葉を遮る様に言った後、私は少し笑った...
そんな私に、レイジさんは何も言葉を返す事は無かった。
きっとレイジさんも少しは微笑んでくれていると良いんだけど...。なんて思わずには居られなかった...
