The result of revenge [ディアラバ]
第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue
しばらくそのまま歩いて行くと、木々の間から見えてきたのは、それはとても美しく、何とも言えない光景だった...
花は咲き誇り、水はサラサラと流れ、その先に見えるとても大きな城...
何かの灯りに照らされて、とても綺麗。
私は立ち止まり、見とれてしまう...
「...すごい...キレイ。」
歩くのをやめた私に気が付いた様子のレイジさんもまた立ち止まり、私の方へと近付いて来る
「おや?どうかしましたかユウラ...。そんな所で立ち止まって、また顔が緩んでいますよ。」
「あ、いえ...すみません。ここから見える景色がとても綺麗で、少し見とれてしまいました...」
「あぁ、そんな事でしたか。...あそこに見えているのが、我が眷属の王、そして私達兄弟の父上の居城です。あの様に美しく何もかもが完璧であるのも、お父上の力が強大だからこそ、なのです。」
とても誇らしげに喋るレイジさん
「そうなんですね...」
私は軽く、まるでうわの空の様な返事を返した。
カールハインツ...
私達、始祖の一族を幽閉し、この魔界でのうのうと暮らしていたんだ。
あいつのせいで私の父さんや母さん、それに一族の皆がどれだけ苦しんだのか...
あの美しい城を見ていると、次第に湧き上がる憎しみの念。
すると突然、眩暈が襲ってきた────
倒れかける私を支えてくれたのは、他でもないレイジさん...
私の名前を呼び掛ける声が頭の中で響く。
けれど、私の震えは止まらず、そのまま意識を失ってしまった...
薄れゆく意識の中で、複雑な想いが頭の中を駆け巡っていた。それはここ〝魔界〟に行く事を決めた時に、予想していた事だったけれど、実際に感じた動揺や嫌悪は遥かに強く...苦しいものだった。
そんな私を暗闇から救うかの様に、私を支えるレイジさんの温もりと、その声が唯一の光に思えた。
ヴァンパイアの彼を光だと表現してしまう程に、今の私にはレイジさんが全てなのだと思い知らされた...
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