The result of revenge [ディアラバ]
第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue
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突然倒れた彼女を抱き抱える。私がお父上の居城を説明し終えた後に倒れた...
必死に彼女の名前を呼ぶも、応えは無く、ぐったりしてしまっていて動かない。
全く、急にどうしたというのだろうか...
ユウラに対しての、疑問と結論が繋がりそうで、繋がらない...そんなもどかしいこの状況に嫌気がさす。
ただでさえ、月がもうそろそろ赤く染まり始めるというのに...。
「...っユウラ!目を覚ましなさい」
駄目ですね。
このままではいけないと感じた私は、彼女を腕に抱きが抱え、歩き出した...
魔界に入ってからの違和感、
「やはり...間違いない様ですね。」
この手に抱いているユウラから強く香る匂い、それは、調合した香水でも消えない程に強く香っていた。
ユウラは、人間と魔界に居る何らかの一族との混血で間違いない───
「魔界に行くと言い出した時に、確信に変わっていたが、こうも強く現れるとは...意外でしたね」
しかし、私がお父上の話をした途端に気分を害したところに、何かの突っ掛かりを感じる。
「ククッ...私とした事が焦りすぎですね。これから真実を聞けるのですから、少しは落ち着かないといけませんね...。これもまた月蝕の影響なのでしょうか...いつになく落ち着かない。」
独りで喋りながら歩くなど...
ふと、腕の中で瞳を閉じている彼女の方へと視線を落とす。
こうしてユウラの顔を見つめるのは何度目だろう。いつだっただろうか、瞳を閉じていたユウラは、苦しそうに涙の跡を残していましたね。
そう、その時私が初めて誰かを自ら守りたいと、そう感じた...
そして、今もこうしてユウラは私に抱かれている。
何を聞いても、知ったとしても、 私の決意は変わらない...
ヴァンパイアの私が、こんなくだらない事を考えるとは...ね。惨めな自分を鼻で笑い、歩みを進めた。
「もう着きますね...。ユウラ、さぁ貴女の想いを聞く時が来ましたよ」
城の前に立った私は父上の結界の強さを感じながら、立ちつくした...
すると自然と門が開く
「...っ、さすがですね。やはりお父上には敵いません」
私は彼女を抱いたまま、迷わずそのまま城の中へと入っていった。
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