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The result of revenge [ディアラバ]

第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue




少しの沈黙の後、私は言った...

「魔界──。」

「..っ、魔界?...それが何か」

もちろんそう言われるだろうとは予想していた...
けれど、ここで引き下がる訳にはいかない。

「私...月蝕の時、魔界に行きたいんです。レイジさんがもし良ければですけど、私を魔界に連れて行ってくれませんか?...」

そう。私は元魔界の住人で、始祖だった。
その事を伝えるなら、やはり原点に戻り、そこで伝えるのが一番だろうと...必死に考えた結論。

「...!なぜ魔界なのです!?私はこの間の晩餐会の後、言った筈ですよ?魔界もまた月蝕に入ると。貴女はその意味を全く理解していない」

そう返されるのは分かっていた...
ヴァンパイアにとっての月蝕の意味を考えたら至極当たり前の返事。

「もちろん...分かってます。それを承知で頼んでるんです」

レイジさんならきっと悟ってくれると、そう思ったからこその曖昧な願い...
何度か理由を訪ねたれたけれど、『今は言えません』と、レイジさんと目をしっかり合わせ、私の思いが伝わればと...それしか言わなかった。

するとレイジさんはこう切り出した

「貴女がそれほどにまで強く願うのなら...いいでしょう、連れて行って差し上げます。しかし、いいですか?この人間界も、魔界も、同時に月蝕が始まるのです。そして魔界の月蝕は、人間界のそれよりも長いと言う事をお忘れなく」

「分かりました...」
もう気が付いているのか...了承してくれたレイジさんの手を強く握り、これから始まる私の新しい未来に思いを馳せていた。

しばらくして、レイジさんは繋がれていた手を離すと、
「では明日、下界の月蝕が始まる少し前に、私の部屋へと来なさい。」
そう言い放った。

「分かりました...レイジさん、ありがとうございます...私の決意と本音の気持ちは、その時に話します」
とすぐに返事をして、立ち上がりリビングを出て行った────

リビングを出た後、一安心した私は少し歩き、目に入った階段へと腰を下ろした...

「ふぅ...。これからこれから!」
リビングに居た時には感じられなかった緊張が一気に押し寄せてくる
けれど、すぐそれを打ち消す様に湧き上がって来るのは、早くこの想いを伝えたいという熱意。

私は階段に座り、明日の事を色々と考えていた───

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