The result of revenge [ディアラバ]
第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue
このまま時が止まれば良いのに、なんて思う私は欲張りかな...
けれど、レイジさんは突然私から手を離した
「...っ、すみません、私とした事が貴女の気持ちも考えずに...あれから、貴女にはまともに触れてさえいなかったと言うのに、少し強引すぎましたね」
何で?嫌だよ。もっと側にいて欲しいよ...
私はとっさにレイジさんの手を握った
「もう少しだけで良いので、こうしていて下さい...」
素直に、そして自然に言葉が紡ぎ出される
ただ手を握るだけでなく、指を絡めるように繋いだ手...私のこの想いが、どうかレイジさんに届くようにと───
「少しだけ、ですよ」
と、レイジさんが一言。
足を組み替え、繋がれていない方の右手で眼鏡を少し押し上げる...
その仕草は、私の覚えているレイジさんの仕草で、一番好きな仕草。
久しぶりに見られて嬉しかった...
レイジさんは私の手を握り返し、そのまま側に居てくれている
握られている、レイジさんの冷たくも温かくもないその手がとても愛おしい...
私の方ばかりが熱くなっていく。そう感じてしまうのは、私には人間の体温が備わっているから...
今までとは正反対で、積極的な私に気が付いているのだろうか...少し会話をした後、そろそろ話しても大丈夫だろうと思い、話を切り出した。
「あの、レイジさん....月蝕が始まるのって、確か明日ですよね?」
「ええ。そうですけど、貴女なぜそれを知っているのです?兄弟達の誰かから聞いたのですか?」
淡々と私へと質問を投げ掛けるレイジさん。
「え...いや、あの...」
確かに誰かから聞いた訳でもなく、私の中に流れる始祖の血が教えてくれた事...
今はそれを伝える時ではないと、焦って返事に困ってしまい、私はとっさに繋いでいた手を離してしまった
顔も逸らしてしまったから、レイジさんの表情は分からない。
「まぁ、いいでしょう。それより、月蝕と言えども人間の貴女には特に関係の無い事でしょう?それなのに、何か気になる事でもあるのですか?」
腕を組むレイジさんを横目で感じた
どう答えようか...
もう確信に迫って話をしてしまおう。