The result of revenge [ディアラバ]
第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue
すぐ側に香るレイジさんの匂いに、胸の高鳴りは増すばかりで...少し黙り込んでしまった。
ほのかに香るその匂いは、とても心地よくて、出来ることならば、私の居場所がずっとレイジさんの隣であって欲しいと、そう思わせる...
そう。私は今日、それを伝える為の準備をしに来たんだ...
とにかく何か喋らないと
「...レイジさんがこの時間から、ここで読書するなんて珍しいですね」
あれ以来まともに話すらしていなかったのだから、ここは焦らずに、普通の会話をしようと思った。
少しでもこの気まずい空気を変えたいと、少し微笑んでみせた...
すると、レイジさんは私の問いかけに対して、普段通りの返事を返す
「まぁ、そうですね。たまには私も気分転換をしたくなる時があるのですよ...しかし貴女、今日は学校へ行かない日だと言うのに、いったいここへ何しに来たのです?」
「えっと、あの...私レイジさんに会いたくなっちゃって...ココにいるかな、なんて思って...」
あまりにも平然と返された質問に、自分でも馬鹿な返事をしてしまったと恥ずかしくなり、レイジさんから視線を逸らしてしまった...
「ではユウラ、もっとこちらへ来たらどうです?」
────?!
レイジさんのその言葉に、私はこのままこの心臓が止まってしまうのではないかと思う位に高陽している。
もちろん私の答えは決まっている...
言葉に出来ずに軽く頷くと、ゆっくりレイジさんの方へと寄っていった。
三人掛けのソファー、一人分をゆっくり詰めていく...肩が触れるか触れないかの距離。月蝕のせいで高ぶっているこの感情を抑える為に、本当に少しの距離を開けた...
すると、突然レイジさんは手に持っていた本をテーブルへと置き、私の腰にそっと触れ、抱き寄せると、私の耳元で囁いた
「私が、こちらへと言ったのですから、もっと近くへ来なさい」
私に添えられている手と、すぐ近くで囁かれたレイジさんの声、強く香る匂いに、理性を抑えるのに必死になってしまう...
こんなにレイジさんを強く求めるなんて今まで無かった...レイジさんが欲しいよ...
もっと側に来て、もっと触れて欲しい...
もはや戸惑いもどこかへ消えていく───