第2章 血界線戦 ザップ
レオナルドが何か言う前に、無情にも扉は締まり、残されたのはソニックと生理現象でどうにもできなくなった哀れなレオナルドだけ。
突然のことに、彼はしばらくそのままで動けなかった。
そんな彼に心で謝罪しながら、なまえは涙に目を濡らしてザップの頭を殴りつける。
「ばか!ばか!!あんなの見られてっ!私どんな顔して明日レオに会えばいいの!?ザップのばーか!」
「いって!いてえって、おい!」
一人盛り上がるなまえは、胸も丸出しで、動くだけでたわわな乳房が揺れる。凶器的な視界だ。
ザップは苦い顔でなまえの頬を両手で優しく包む。
それでも止む事のない攻撃に、甘んじてそれを受け入れる。
「わかったって!もうやんねーよ!」
顔をつき合わせ、おとなしくなるまで待った。
なまえは回すように動かしていた手を止め、ザップを見つめる。
涙もそのままに見上げる彼女に、思わず心がくすぐられる。
「……悪かったよ。ちょっとヤだったんだよ、お前とアイツが二人っての」
そう言って、額を合わせる。
顔が見えなくなって、暴力的な気持ちがいくらかおさまってくる。
なまえは視線を下にやりつつ
「なに、それ……ばかみたい……」
「……俺も、そう思う」
ズリ、と額が擦れる。
髪と髪が絡まりあい、嫌いなタバコの香りがすぐ近くでした。胸がムカムカする匂いが体を包む。頬に当てられた手は、嫌いな褐色。
しかし、まあ。触りたいのなら許してやらないこともない。
無駄になってしまった夕飯は、コイツに手伝ってもらうしかないかな。となまえはそっと瞳を閉じた。
少しだけ、本当に少し、ザップの手が心地いいなんて思ってしまった自分を押し隠し、タバコの匂いで思いをかき消した。
……end……