第9章 みんなの王子様
「とにかく、がんばってね。カラ松くん」
カラ松「う、うん…」
カラ松くんは、煮え切らない様子でうなずいた。
それに、わたしは、これで十分なの。
かっこいい王子様なカラ松くんを、舞台裏から見てるだけで…
それだけで、十分。
お姫様はわたしじゃなくてもいい。
そんなことを考えていると、わたしの家が見えてきた。
いつもは、ここでバイバイだけど……
今日は、もっとカラ松くんと一緒にいたかった。
「ねえ、カラ松くん。今日はうちに寄っていかない?」
カラ松「えっ? いいのか?」
「うん。お母さんもお父さんも出張中だから、誰もいないけど……夕飯くらいごちそうするよ」
カラ松「がつくるのか?」
「うん、つくる」
カラ松「じゃあ、やめておこうかな」
「えっ!?」
すると、カラ松くんは、わたしの頭に手をのせて、悪戯っぽく笑った。
カラ松「うそうそ。冗談だよ」
「も、もう…! カラ松くん、ひどい!」
カラ松「はは、ごめん。……でも、本当にいいのか? ご両親が留守のときに俺なんかが家にあがっても」
「それは気にしないで。それに……もう少しカラ松くんと一緒にいたいの」
わたしが素直にそう言うと、カラ松くんは、頬を染めた。
カラ松「俺も……もっとと一緒にいたい」