第8章 たすけて
薄暗い台所……
わたしは、その隅っこにうずくまり、ひとり泣いていた。
あのあと、おそ松くんは、「じゃ、また明日な」と言い残して、寝室に戻って行った。
それから、わたしは、なんとか眠ろうと頑張ったのだけど、頭の中がぐちゃぐちゃで眠れず、布団を抜け出し一階に下りてきた。
どこかで、ひとりきりで泣きたかった。
そうして見つけたのが、この台所。
「ん…う…ぐす……」
膝を抱えて、そこに顔をうずめる。
これからわたしはどうすればいいんだろう……
このままでいいなんて、思っていない。
けれども、どうすればいいかなんて、今のわたしには分からなかった。
わたしは、ただ、カラ松くんと幸せになりたいだけなのに……
???「……ちゃん?」
不意に、背後から声がして、わたしは咄嗟にそちらを振り向いた。
薄暗がりの中に、チョロ松くんが立っていた。
「チョロ松くん……?」
チョロ松「ちゃん、どうしたの? 泣いてる……?」
「えっ……あ」
わたしは、必死にごしごしと涙を拭い、笑顔をはりつけた。
「な、なんでもないの。気にしないで」
チョロ松「何でもないのに泣いてるの? そんなわけないでしょ」
チョロ松くんは、わたしの前まで歩いてくると、すとんと腰を落とした。
そして、わたしの頭に手をのせた。
「あ……」
あったかい……
チョロ松くんの、手……
その瞬間、ふたたび涙がぽろぽろと零れた。