第6章 せめて…
カラ松くんに胸ぐらを掴まれたのなんて、初めてのことだった。
怖くて、身体ががくがくと震える。
「ご、ごめんなさい……でも、そうじゃないの」
どう言えばいいんだろう。
なんて言い訳すれば信じてもらえるんだろう。
カラ松「……へえ。何が『そうじゃない』なんだ?」
カラ松くんは、怒ってる。
それも、ものすごく。
カラ松「はトド松のことが好きなのか?」
「えっ……!?」
ちがう……!
そんなわけない。わたしが好きなのは、カラ松くんだけで……
あなたに嫌われたくない一心でわたしは……
カラ松「俺、言ったよな? 俺にはしかいないって……だけが好きだって……なのに、は俺のことを裏切るのか!?」
「そ、そんなつもりはっ……」
わたしが弁解しようとしたそのときだった。
突然、頭に強い衝撃と激痛が走った。
「ッ……!!」
視界がゆらゆらと揺らぎ、頭に脈打つような痛みがやってくる。
……な、なにが起こったの?
ぼんやりとした視界に、カラ松くんがうつりこむ。
彼は、わたしに馬乗りになって、冷たい瞳でわたしを見下ろしている。
もしかして、
……わたし、カラ松くんに投げ飛ばされたの?