第4章 嫌がらせ
Side 一松
業間休み。
は、一人で教室を出て行った。
おそらく、トイレか何かだろう。
さっき、俺が昼休みが終わって教室に戻ってきたとき、はあわてて何かを机の中に隠していた。
そして、そのあとに、俺に教科書を見せてほしいと言ってきた。
が教科書を忘れてきたことは、1年生のころからただの一度もない。そこらへんだけは、しっかりしてる奴だから。
だから、おかしいなと思った。
左手でパンを食べながら、右手をの机の中に突っ込む。
そして、一番上にあった本のような物体を引っ張り出した。
見ると、それは、忘れてきたと言っていたはずの教科書だった。
一松「……そういうこと」
教科書の表紙に書きなぐられた赤い文字を見下ろして、つぶやく。
誰がやったんだろう。
こんなこと。
は、大人しいから、きっと誰にもこのことを言わないだろう。
これをやった人間に、自分から仕返ししたりもしないだろう。
だったら――