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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第11章 鬼さん、こちら。✔



 見るからに落ち込んだ様子で禰豆子に切望の眼差しを向けているのは、我妻 善逸。

 タンポポのように明るく眩いざっくりと断髪された金髪は、昔雷に打たれて色が変わってしまったんだとか。
 太い眉毛は常に下がり気味で、どこか自信のない性格…かと思いきや女の子の前ではがらりと変わる。
 鬼の私も最初は凄く怖がってたのに、女だとわかった途端に態度が変わった。
 月とすっぽん並みに変わった。
 女の子大好きなんだろうなぁ…誰でも構わず口説こうとするのは頂けないけど、鬼である禰豆子にも人一倍優しいから、そこは素敵だなと思ってる。
 なんだか特別な感情っぽいし…恋かな?
 うん、青春。

 そしてほんわかとした空気を纏って皆を笑顔で見守っているのが、禰豆子の兄の炭治郎。

 初めて会った時はまともに話せなかったから、炎柱の屋敷で暮らすようになってから此処に度々顔を出すようにした。
 そうして話してみればみる程、やっぱり炭治郎はその色に見合った人。
 類を見ない優しさと誠実さを持った、正直者の絶え間無い努力家。
 そんな言葉を並べれば善人過ぎて近寄り難いくらいなのに、炭治郎には人を惹き付ける何かがある。
 話していると、こっちまで心が洗われるような少年だ。


「蛍ちゃん、蛍ちゃん。どうしたらそんなに禰豆子ちゃんに慕われるの? 俺にも教えて」

「教えるも何も、最初からこうだったからなぁ…ううん…」

「ただの男と女の違いだろ。認めさせてぇなら、誰が親分で誰が子分か教えりゃあいい」

「俺認めさせたいなんて一言も言ってないけど…誰が親分子分だ」

「禰豆子はきっと同じ鬼の女の子が初めてだから、蛍に懐いたと思うんだ。善逸にだって懐いてるぞ! 夜の散歩、よく連れて行ってくれるだろう?」

「そりゃあ禰豆子ちゃんが喜ぶなら…って本当!? 俺懐かれてる!?」

「ああ! きっとだ!」

「やぁった」

「あのッ!!!!」


 炭治郎の励ましに、握り拳を作って飛び上がる全身を使った善逸喜びの舞。
 を止めたのは、その場に響き渡る凛とした高い声。


「今は休憩中で、自由時間ではありませんが!!」


 腰に両手を当てて仁王立ちしているのは神崎アオイ。

 此処は蝶屋敷の広い訓練場。
 私は禰豆子と見学の身だけど、炭治郎達は機能回復訓練の真っ最中だ。

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