第11章 鬼さん、こちら。✔
「覚悟足らずと言ったなら、その覚悟を決めろ」
そして私自身見つけられていないのに、私が求める言葉をくれるんだ。
この背を、押してくれる。
「…ん」
意を決して頷く。
「杏寿郎の血を、私に下さい」
ここまで背を押してくれた杏寿郎に、甘えっ放しはいけない。
そう名乗り出れば、杏寿郎の表情が微かに和らいだ。
「うむ」
ぱっと照らす太陽のような笑顔とは違う。
でも、ずっと見ていたくなる表情(かお)だ。
「では善は急げだ。これ以上蛍の飢餓症状が悪化する前に済ますとしよう」
「あ、その前に一つ」
「なんだ?」
ようやく落ち着いて部屋の行灯に灯りを灯す杏寿郎に、咄嗟に片手を挙げて主張した。
「提案が、あるんだけど」