• テキストサイズ

いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第32章 夜もすがら 契りしことを 忘れずは



 見ているのは蛍の顔ではない。
 その視線を辿れば、冷たい感覚の正体を掴んだ。

 俯く杏寿郎の口から、とろりと蕩け落ちた透明な唾液。
 それがじんわりと赤らむ桃尻を濡らしていたからだ。


「杏、寿郎? 何して…」

「ん。蛍が前に、俺にしてくれたことだ」

「え?…ぁっ」


 桃尻を濡らす唾液を親指で拭い、その手が辿り着いたのは赤らむ後孔だった。
 ふにりと入口を撫でられ、ひくんと蛍の腰が揺れる。


「だが蛍のように上手くは垂らせないな。ここを濡らしたかったのだが…」

「ぁ…そこ、触らな…っ」

「触って欲しそうに開いていた」

「っ!? そ、そんなこと」

「嘘は言っていないぞ。小さな花を開く様を見つけたんだ。蛍の体は本当に、どこを取っても愛らしいな」

「な…んっ」


 心の底から愛おしそうに杏寿郎が告げるものだから、顔に強い熱が灯る。
 周りの縁を撫でるように濡れた指で触れられて、つい力の入らない手をついて体を起こそうとした。
 失敗したのは、見計らったかのようにつぷりと杏寿郎の指が潜り込んできたからだ。


「少し濡らしただけで、こうもすんなりだ」

「ぁ…っんぅっ」

「うねり指に絡み付いてくる。愛いな」


 それのどこが愛いらしいというのか。
 そう告げたくても告げられない。


「は…っぁ、あ…っ」


 くぽ、くぽと秘部とはまた違う卑猥な音を立てながら、優しく指で犯される。
 ゆっくりと奥まで挿入する指の腹が、関節を曲げて粘膜をこそぐように引っ掻いてくる。

 荒波に攫われるような、蜜壺の快楽とは違う。
 なのに泣きたくなるような快楽を逃がすことができずに、震える手足は体を支えきれずにいた。


「んんっふ…ぁッ」

「ん…っここを愛でれば、蛍のなかも締め付けてくるな…気持ちよくなってくれているのか」


 杏寿郎の言葉は否定できなかった。
 後孔だけを犯されることに、体は快感を覚えてしまっている。
 そう教え込んだのは他ならぬ杏寿郎だ。

/ 3624ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp