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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第8章 むすんで ひらいて✔



 暗い通路の奥底で、小さな小さな決意を抱えた。
 その次の日から私の奮闘は始まった。


「それでは鬼と渡り合う為に人が生み出した"呼吸"。それについて教えよう!」

「ょ…よろしくお願いしますっ」

「うむ! まずは柱が使う呼吸について。それは全て形も技も様々であり一様に異なる。炎柱である俺は炎の呼吸。水柱である冨岡は水の呼吸というように」


 一番大切な呼吸法。
 それについては杏寿郎から教えを乞うこととなった。
 広い道場で向き合って互いに一礼。
 さて実践!かと思いきや、最初は丁寧に呼吸の理(ことわり)を教えてくれた。

 炎柱 煉獄 杏寿郎 炎の呼吸
 水柱 冨岡 義勇  水の呼吸
 恋柱 甘露寺 蜜璃 恋の呼吸
 音柱 宇髄 天元  音の呼吸
 蛇柱 伊黒 小芭内 蛇の呼吸
 蟲柱 胡蝶 しのぶ 蟲の呼吸
 風柱 不死川 実弥 風の呼吸
 岩柱 悲鳴嶼 行冥 岩の呼吸
 霞柱 時透 無一郎 霞の呼吸

 柱の呼吸だけ見ても皆一様にバラバラだ。
 そして呼吸には"始まりの呼吸"というものがあり、柱達の呼吸はその派生だという。


「始まりの呼吸ってなんて言うの?」

「"日の呼吸"だ。全ての呼吸は、日の呼吸の後追いだと言われている」

「そう…なの?」

「そうだ」


 そう伝えてくる杏寿郎の顔は、あまり明るくは見えない。
 後追いなんて言い方、良くは聞こえないし……でも、


「私、炎の呼吸が好きだな」

「…む?」

「初めて見た時、凄い衝撃だった。炎の虎がこう、夜空を踊るように駆け上がっていて。凄く、綺麗だった」


 私の心を掴んだのは杏寿郎の呼吸だ。
 初めて目にしたのもあるかもしれないけど、それでも確かに目を奪われた。
 それを伝えれば、ぽかんと杏寿郎の目が丸くなる。


「…綺麗、か?」

「うん!」


 一生懸命伝えたらやっとその思いが伝わってくれたのか、杏寿郎の顔が僅かながらに綻んだ。

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