第27章 わが情(こころ) 焼くもわれなり 愛(は)しきやし✓
「待っ…んァッ!」
強い突きではなかった。
子宮口に触れた亀頭が、小刻みに揺らすようにして幾度も口付けていく。
そんな些細な刺激だというのに、体はまな板の上の鯉のように跳ね上がり打ち震える。
「ぁッ! あァ! ひぅッ!」
反射的に力の入る両手首が、縛られた縄をぎしぎしと鳴らす。
抱えられた両脚は爪の先まで力が入り、宙を無駄に蹴り続けた。
快楽の嵐だった。
子宮の奥底まで熱く煮えたぎるようだ。
「蛍…ッ蛍っ」
切なくも熱っぽく呼ぶ杏寿郎の囁きは、幾度も抱かれる度に聴いてきたものだ。
その度に胸は熱くなり、体だけでなく心まで満たされた。
「ァあ! あ──…!」
しかし今は蛍の耳には届かない。
止めどなく次から次へと襲いくる快楽が、立て続けに絶頂へと押し上げていく。
休む暇もない。視界はちかちかと花火のような閃光が走り、脳裏は思考もままならない程白く塗り潰される。
「く…ッ"三度目"だ…ッ」
ぎゅうぎゅうに締め上げながら、口付けた子宮口が精を吸い取ろうと強く吸い上げてくる。
止めどない快感は杏寿郎も同じだった。
腰が砕けそうになるのを耐えながら、早々と三度目の射精を告げる。
いつもなら長く蛍を抱いていたいが為に、欲を放つのは敢えて遅らせていた。
しかし今は、その自制をかなぐり捨てている。
与えたいだけ注ぎ込み、飲めるだけ浸らせていく。
最初に与えた実弥と静子の稀血を薄めるかのように、尽きない己の欲望で染め続けた。
「受け取れ…ッ」
「ッッ──…!」
どくんと一際大きく膨張した肉棒が、子宮の奥へと白濁の欲を打ち放つ。
背を浮かせ顔を反り声にならない声で鳴いた蛍が、塗り潰された白い世界へと意識を飛ばした。
「っは…ぁ…ぁ…っ」
硬直した体は呼吸も止め、静寂と沈黙を作る。
それも束の間、緊張の糸が切れたかのように掠れた呼吸が蛍の口から搾り出る。
「ハァ…ほたる…っ」
それは杏寿郎も同じだった。
蛍の胸の上で浅く息を繋ぎながら、汗ばんだ肌を重ねるように覆い被さった。