第27章 わが情(こころ) 焼くもわれなり 愛(は)しきやし✓

「あ…ッぁ…」

「ん…ほら。奥まで挿入ったな」


　温かい蛍の体の中で、鈍いながらも異物の存在を感じる。
　それでも抵抗を押し退けるように進めれば、張形はあっという間に密壺の中に姿を消していった。

　先程よりも締め付けが強くなった後孔に眉を顰めながら、ゆっくりと深く息を繋ぐ。
　片腕で支えるように蛍の腰を抱き、張形の根元に手を添えた。


「ゃ…む、り…ッ」


　予感がしたのか、力なく頸を振る蛍に、逆に嗜虐心が煽られた。


「無理かどうかは、やってみないとわからない。だろうッ？」

「ひゥ…ッ！？」


　抜けないようにと張形の根元を支えたまま、下から杏寿郎自身が腸内を突き上げる。
　ぐぷりと狭い扉を開閉させる刺激に、腕の中の存在が激しく波打った。


「あぅッ待っ…ンあッ！　あァッ！」

「…ッ」


　ぎゅうぎゅうに締め付けてくる後孔は、先程とは段違いの強さだ。
　一瞬でも気を緩めればすぐに射精してしまいそうな強さに、杏寿郎は歯を食い縛った。

　しかし律動を止める気はない。
　狭い蛍の中で、同じに蜜壺を貫いている硬い張形の存在を感じながら、何度も繰り返し腰を突き上げた。


「だ…ッきちゃ…！　ひあッ！」


　快感の扉を押し開けるように、何度も亀頭が狭い入口を擦り貫く。
　その度に高く鳴く蛍は、全身を戦慄かせ絶頂を迎えているようだった。


「果てたいだけ果てるといい…ッ」

「やぁ…ッ！　それぇ…あ"！　おか、し…なる…！　からァッ」


　合わせて張形の底を拳でノックするように叩けば、その度にびくんと白い脚が浮き、髪が乱れる。
　杏寿郎の肩に後頭部を押し付け仰け反り喘ぐ様は、我を忘れたかのようだ。


「可笑しくなればいいだろう…ッ」


　絶頂の波に飲まれているのは明白だった。
　そうして蛍が快楽に溺れゆく程に、比例するように心の奥底に沈殿する何かが満たされていく。

　二輪挿しの快楽を与えられるのも、ここまで咽び鳴かせられるのも、自分だけだ。
　自分だけの蛍なのだから。


（俺に狂ってしまえばいい）


　ドス黒く染まった杏寿郎の想いは、蛍を乱暴にでも抱けば抱く程満たされていく。