第6章 柱たちとお泊まり会✔
「それ蛍か?」
「違う」
「そうだ!」
「どっちだよ。てかなんだかんだ仲良く寝てんじゃねーか。なんで煉獄まで一緒に寝てんの?」
「彩千代少女が寝付くまで心配だったからな!」
「…やっぱ無自覚」
「なんだ!?」
「なんでもねー。てか朝っぱらから煩ぇ声…」
もう一つ欠伸を漏らして、のそりと天元が布団から起き上がる。
杏寿郎の闊達な声にすっかり目は覚めてしまった。
「で、なんで其処で三人仲良く雑魚寝?」
「雑魚寝じゃない」
「ほぼそんなもんだろ。ってかなんでいちいち否定すんだよお前は」
「ふぁ…それが冨岡さんなんですよ…諦めなきゃ駄目です、宇髄さん」
小さな欠伸と共に布団から起きたのは胡蝶しのぶだ。
元々人の気配を過敏に察知できる柱達。
まだ明け方近くだが、各々が周りの気配に起床を始めた。
「んんー! よく寝た…!」
「甘露寺の髪の躍動は凄いな…」
「えっ!? やだ、すぐ寝癖ついちゃうから私…!」
「大丈夫だ、問題ない(可愛い)」
「煉獄さん、お布団ありがとう御座いました。久しぶりにゆっくり休めた気がします」
「そうか! 胡蝶は勉強家だからな。自主的に休むことを進めるぞ!」
「ふふ。煉獄さんは寝起きでも元気ですねぇ」
「で、なんで隅に離れてんだって話だ。寝惚けて噛み付かれでもしたか?」
「されてない」
「なら問題ねぇだろ」
賑やかになる部屋の中で、天元だけが未だ布団の山のままの蛍に歩み寄る。
どんなに話しかけても義勇は否定の一点のみで、それでも尚その場から動く気配はなく。尚且つ布団の塊を片手で押さえているものだから、気になるというもので。
「起きろ蛍、朝だぞ」
「!?」
「宇髄!」
「あんだよ。もう朝だろ」
屈み込むと、ベシッとその塊に向けて軽い平手打ちを一つ。
義勇が驚き杏寿郎が声を上げる中、こんもりと膨らんだ塊が動いた。
『んん…っ』
「お。やっぱ蛍じゃねーか」
「起きたか彩千代少女!」
布団の中から届く、くぐもった小さな声。
いち早くそこへ杏寿郎が声を掛ければ布団の中の蛍にも届いたようで、もぞもぞと動きが大きく変わった。